【翻訳】JDG Hommeコーチ「FakerのアジールがBO5を決定づけた」(前編)

youtu.be

 

韓国メディアKORIZON EsportsのAshley kang氏からJDGのヘッドコーチを務めていたHomme氏へのインタビュー動画の翻訳です。(英字幕→日本語)
Homme氏はT1戦後、プロシーンから一時的に離れることを発表しています。

 

 

Ashley: こんにちは。このBO5は非常にハイレベルなものとなっていました。
JDGのWorldsでの旅は後悔の残る終わりとなってしまったと思いますが、今のお気持ちをお聞かせください。

 

Homme: ゲーム1とゲーム3はコーチとしてもっと上手くやることができたと思いますし、私が十分なドラフトを作れなかったせいでゲーム4も負けてしまいました。
Worldsの場においては結果こそが全てであり、私たちは勝つことができませんでした。もっといいドラフトを組む事ができたはずですし、それができなかったことが敗因だと思っています。

 


Ashley: 今回のマッチは、ドラフトの時点から激しい争いになることが予想されていました。クオーターファイナルからbotレーンのメタが大きく変わり、これまでとは違うチャンピオン達が姿を見せ始めました。
そのメタの変化の中で、T1は2マークスマンの構成を最も上手くプレイできるチームだと評価されていたと思います。
JDGはコイントスによって1ゲーム目のサイド選択権を手に入れ、レッドサイドを選択していましたが、どのような考えだったのでしょうか。

 


Homme: T1はレッドサイドのラストピックを使ってbotレーンで有利なマッチアップを作ることを得意としています。
ブルーサイドを渡した時も手ごわいですが、今回T1が取ってくるであろう戦略にはレッドサイドの方がマッチしているように思えたので、取り上げることにしました。
レッドサイドを取り上げれば、topかbotのレーンにカウンターのマッチアップを作ることもできます。
レーン戦をイーブンに抑えれば勝てると思い、OPチャンピオンをほとんどバンせずにお互いで取り合うようにして、topとbotレーン戦が安定するようなドラフトを作ろうと考えていました。
そう考えてレッドサイドを選択したのですが、レベル1でのジャングルインベードをはじめとして、T1の準備はこちらを完全に上回っていました。
今思えば、ゲーム1で有利を取るための準備を十分にしないといけなかったのですが、私の準備が足りなかったせいでゲーム1では勝利を明け渡すようなことになってしまいました。

 


Ashley: このインタビューの初めに、ゲーム1とゲーム3について後悔を口にされていましたね。BO5の勝負では、ゲーム1を勝利した方が勢いに乗るということがしばしばあると思います。
T1はゲーム1で、これまで一度もピックされていなかったジンを使い会場を沸かせていましたが、ゲーム1において準備が足りなかった、欠けていたと考えられるのはどのような部分でしょうか。 

 


Homme: 私たちの構成はイーブンの状況で終盤の集団戦に持ち込めば負けることはないと考えていました。
なので、できる限りドラゴンを抑えて、レーン戦を耐え抜くことを狙ったのですが、序盤のジャングルインベードやそこからのガンクで私たちのプランは崩れてしまいました。
ヴァイは最序盤にあまり強くなく、オリアナはその時間に強かったのでガンクが決まらず、当初のプラン通りに進まなかったことが残念です。
また、T1がエイトロックス/レル/オリアナをピックしてくることは事前に予想ができたはずだと思うので、その構成を取らせないようなドラフトを目指すべきでした。
(訳注: エイトロックス/レル/オリアナの構成はT1 vs LNGのゲーム1でも使用されていた)
そのあたりが1ゲーム目の敗因になったと思います。

 


Ashley: お互いのチームがバンできるチャンピオンは限られていますから、トップレベルのチーム同士の勝負になった時に難しい選択を迫られることもままあると思います。
BO5においては、ドラフトの良し悪しやゲームプランを遂行できたかどうか、試合を通しての勢いや各選手のコンディションなど、ゲームの勝敗を分けるような要素が数多くあります。
特に勢いは重要だと思いますが、JDGが勢いを失い、競争力で上回られてしまったと感じたのはどこのポイントでしょうか。

 


Homme: 勢いをつけるためには一番最初のゲームが重要だと思います。それと、ゲーム3は勝てたはずのゲームだったと思いますし、それだけの状況を作れていました。
ポークが得意なチャンピオンを多くピックしていたのでレルとアジールのエンゲージは脅威でしたが、対応できる構成にはなっていたはずです。
しかし、T1のエンゲージは非常に鋭く正確でした。ヘッドコーチとしてチームに一つだけお願いできるなら、あの仕掛けを捌いてほしかったですね。(笑)
実際にはエンゲージは決まってしまいましたし、私がエンゲージされやすいような構成を作ってしまったのだと思います。
ドラフトで事前に防ぐべきでしたし、結論としてああなってしまったのは私のミスです。

【翻訳】GENGのCEOが「eスポーツの冬」について考えを語った

youtu.be

 

韓国のメディアであるKORIZON Esports所属のAshley kang氏からGENGのCEOであるArnold Hur氏へとインタビューを行った動画の、「eスポーツの冬」についての部分の和訳です。(動画時間8分から11分20秒あたり)

 

 

 


Ashley: このインタビューは韓国で放送され、たくさんの人が視聴すると思います。
彼らは、あなたを含め様々な人が「eスポーツの冬」という言葉を使うのを何度も見てきました。
お聞きしたいのですが、あなたにとって、「eスポーツの冬」とはどのような意味でしょうか。
なぜこの言葉は多くの人々の注目を集めているのでしょうか。

 

Arnold: eスポーツは段階的に成長し続けていて、6~7年ほど前に新しいスパートに入りました。
投資家たちかがeSportsにたくさんのお金を注ぎましたし、私は今でもそう考えていますが、「eスポーツは将来巨大産業になる」と誰もが感じていました。
ただしかし、投資家たちから期待されていた期間に期待されていたほどの十分な収益を上げることができませんでした。

 

これは非常に初歩的な問題なんですが、例えばそこのようなコーヒーショップがあったとして、(窓の外を指さす)そこでは世界最高のコーヒーを販売していたとします。
ただ、彼らはコーヒーを50セントで売っていましたし、十分な数のお客を集めることができていませんでした。
基本的なことですが、コーヒーを売るために必要なコストがお客が欲しいと思う値段を上回っていたら、どれだけそのコーヒーが美味しくても、どれだけ素晴らしい店だったとしても、商売は長続きしないでしょう。
「eスポーツの冬」と呼ばれている現状も、それと同じ問題を抱えていると思っています。

 

私の意見ですが、ファンの皆さんが多くのお金を使ってくれるかどうかは重要ではないと考えています。
ファンの方々が選手たちを応援して、試合の観戦に来てくれてグッズを買ってくれることは大変素晴らしいのですが、そのお金がファイトマネー等の形で直接私たちに入ってくることはありません。
LCKリーグの放送料も昔ほど高い値が付かないようになり、収支のバランスが傾いてきています。
今、LCKのチームや他のリーグ、他のどのeスポーツチームの損益状況をチェックしたとしても、黒字を出している所は無いと思います。
どのチームも赤字を出し続けていて、今のままでは長続きできないでしょう。

 

それでも、少しずつ雪解けの兆しが見えてきました。eスポーツはまだまだ成長し続けると思っています。
私たちのチームエモートがどれくらい売れたのかと思うとワクワクしますし、そういったデジタルコンテンツからプロチームの収益を得るやり方を進めていってほしいです。
(訳注: Worlds2023のチームエモートの売り上げは100%出場チームへ還元される。)

とてもシンプルな問題ですが、LOLをプレイしてプロシーンの観戦もするような人たちは、どんなものを買いたいと思うでしょうか。
ユニフォームを買ってくれるファンもいますが、ほとんどの人たちはそれよりもスキン等のゲーム内アイテムを買いたがるはずです。

 

Ashley: 今年のシーズンの初めにも、各地域ごとに2チームに分かれて勝負をして、勝ったチームはエモートを作ることができるイベントがありましたね。
Deftがアルパカのアイコンを作ってもらっていて、人気が高かったことをよく覚えています。
(訳注: 2023年1月に開催された「Season 2023 Kickoff」のこと、実装されたエモートの売り上げはプロチームへと還元された。)

 

Arnold: ええ、アルパカのエモートは本当によく売れていました。
私たちもGENGを代表するような動物を用意しておかないといけないですね。(笑)